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Vol.1 イーストのお話 |
◆顕微鏡の発明が、イースト培養をスタートさせました。
イーストの正体や発酵のメカニズムが少しずつ明らかにされ始めたのは、顕微鏡が発明された後、17世紀後半頃のこと。
それまで人々はイーストの存在を知らず、ビールのカスや果実や穀類などで自家製のパン種を作ってパンを焼いていたので、すべては経験と勘と神に頼る手探りの作業だったのです!
19世紀にはいると、各国でイーストを培養する気運が高まり、研究も盛んになります。
自然界からイーストを採取して培養する様々な方法が考案されたのです。
そして1857年、イースト発酵の原理がはじめて解明されます。
フランスの生化学者パスツールが「イーストが糖をアルコールと二酸化炭素に分解する」ことを立証したのです。
人類は6000年も前から発酵を利用してきましたが、その実態を知ったのはわずか130年前のこと。
私たちが当たり前のように食べているふっくらふくらんだパンの仕組みは、本当につい最近解明したことなんですね。
◆イーストの正体。ミクロの世界をのぞいてみれば・・・
イーストとは、酵母、カビ、細菌など種々の微生物が生息している自然界から、もっとも製パンに適した物を選別して純粋に培養した酵母のことです。
イーストは顕微鏡でしか見えない小さな生き物で、1個の細胞からなり、芽を出して増えていくのが特徴です。
からだの表面から糖などの栄養分をとり、周りに酸素があるときは呼吸をしながら子孫を増やします。酸素が不足すると、繁殖をやめ、糖をアルコールと炭酸ガスに分解して生命を維持する発酵作用を起こし始めるのです。
最も活発に活動する温度は30℃前後。それ以上になると、自分のからだを分解し(自己消化)、死んでしまいます。
ちなみに、ケーキ状のイーストの白いかたまりの中には、1グラム中なんと100億個以上の生きたイーストが含まれているんですよ。
◆パンの下の力持ち!ふっくらパンに欠かせないイーストの役割。
イーストの入ったパン生地は、発酵工程で、こねた時の何倍にも膨張します。
生地がふくらむのは、イーストが生地の中の糖分を分解して炭酸ガスを放出するからです。
生地のいたるところで発生した炭酸ガスが、無数の気泡となり、グルテンのガス保持性とあいまって、生地をふっくらとさせ、パン独特の引きのある食感を作り出してくれます。
お菓子作りに欠かせないベーキングパウダーにも生地を膨らませる作用がありますが、これは科学的に炭酸ガスを発生させているため、気泡のでき方がイーストとはまったく違うのです。
◆イーストができるまで~ひとすくいの種菌を数トンに!
イーストの製造工程は、他の食品の製造方法とはかなり趣を異にします。
それは、工程の中心が「培養」にあるからです。工場の仕事は、イーストの増殖を見守りながら助ける作業といった感じです。
●種菌の培養・・・
パン作りに適したイーストの中から、特に優れた性質のものを選んで培養します。
試験管→フラスコ→培養タンクへと大事に大事に増やしていきます。
●原料の調整・・・
原料と言うよりイーストの栄養分、サトウキビからとれる糖蜜を加熱処理して、イーストの増殖に適した濃度の培養液を作ります。
●本培養・・・
100~200・の大型タンクで培養します。10数時間で、種菌は10倍以上に増殖し、一度に10トン~20トンのイーストが得られます。
●遠心分離&脱水・・・
遠心分離機培養液からイーストを分離し、不純物を含まないクリーム状のイーストに仕上げます。
その後、脱水機でさらに水分を取り除かれ、ケーキ状のイーストが完成!成形、包装して5℃以下に冷やして出荷となります。
*上記のテキスト、写真は、日本イースト工業会さんが発行された「イースト読本」より抜粋してご紹介させていただきました。
生きているイーストの力がパンを膨らませてくれるのですね。
まさに「パンの下の力持ち」。パン作りに欠かせない大事な立て役者です。